夢たまご 遊郭編

こんな夢を見た。

 

私が駅のドトールで先日購入を見送ったテスカトリポカを読んでいると、どこから現れたか、顔の見えない男がいつの間にか向かいの席に座っている。彼奴はか細い声でこう囁いた。

「なあ、一緒にソープ行かん?」

その一言で私は確信した。こいつは勝つぞだと。

そしてこう思った。これはおそらく夢だから、行ってみようじゃないか。

うむ、行ってみようじゃないかと答えた。

彼はもう何も言わず、席を立ち店を出た。自分も急いで後を追った。

ひとつ彼の名誉のために申し上げるなら、彼は未成年であり、ソープを利用したことなどないはずだ。でもまあ、夢ってそういうもんだから。

二人で連れ立って、駅から徒歩5分ほどの場所の裏路地に入ってゆく。しかしこれは一体どこだろう。見たことのあるようなないような妙な店が並ぶ路地を、ずんずんと歩いていった。

顔も名前も知らぬフォロワーに誘われ風俗に行く夢。

「そろそろ着くから、金下ろしとけよ」

コカコーラの見慣れた自動販売機の横に、これまた見慣れたATMが並んでいた。

特に疑問は抱かず、彼に促されるままに3万円を引き出しポケットに突っ込んだ。

「ここだ、ここ」

果たして遊郭はあった。先日鬼滅を見たせいか、外観は完全に遊郭そのものだった。

100分25000円のコースを自分は選んだ。

今思えば、玄関をくぐったあたりから勝つぞの姿が見えなかった。奴は未成年だから、遠慮したのだろうか。どうせ夢なのに、変なところで律儀な奴だと思った。それが彼の美点でもある。

ふわふわした足取りで個室に招き入れられ、嬢と対面する。彼女の名前は覚えていないが、ぽっちゃりめでそれなりに愛らしい顔立ちであったように思う。これは夢である。

自分はソープを実際に利用したことはないので、プレイの内容や順番はいささか雑な夢だった。しかし雑なりに本番行為に至ったので、概ね満足した。

時間もまだ残っているし、2回戦に、その瞬間に頭上の時計が大きな音を立て鳴った。

はっと思った時には自分はまたドトールに戻っていて、顔の見えない店員がこう言った。

「お客さん、服は着てくださいよ」

 

目が覚めた時に覚えていたのはこの程度である。私はどうしてもソープランドに行きたくなった。行きたくて仕方がない。これは間違いなく、今日行くことになるなと自分でも思った。

そういうわけなので、たった今寝ぼけた頭で店を探し、清水の舞台から飛び降りるような思いで予約の電話をかけたところである。家を出るまでまだ時間があるので、ことの顛末をブログに書き残そうと思い立ち、自慢のBluetoothキーボードを広げた。